モンテ微塾故中村佐喜雄先生追悼文集No.2

中澤和彦先生からの手紙より


紅葉の好季節が巡ってまいりました。この度は、モンテ微塾長、故中村佐喜雄先生の一年祭の御案内を戴き、有り難く感謝しております。この機会に、先生のご遺業を偲ぶのは混迷する教育界に一縷の光を取り戻すためにも、意義あることと存じます。

先生がご存命中、度々塾を訪ねるようにお招きを受けていました。機会をみて是非参上し勉強させて頂こうと思っておりましたのに、今年の年賀状のお返事を先生のお姉様から戴き、先生がお亡くなりになったことを知ったような次第です。

昭和六十二年の開塾の折にも、退職金を投げ出して障害児のため、余生に全力を尽くしたい、とお便りを戴いておりました。また、NHK岡山放送局が取材したときのVTRも送って戴き、その活躍ぶりにも感動しておりましたのに、こんなに早くお亡くなりになるとは、誠に残念、かつ、痛恨の極みです。

モンテッソリー教育をマスターして、これを障害児の教育に適用するだけでなく、自ら開発した教材・教具と指導法を用いて、誠実かつ熱意溢れる療育、指導に専念される姿にペスタロッチを思い浮かべるのは私だけではないと思います。とりわけ、お母さんと一緒に指導することで、学校、家庭、地域社会の一体化が求められる昨今、これからの教育の在り方について貴重な示唆を与えて頂いたと思っています。

先生の遺志を継いで、子ども達の自ら生き抜く力を、家庭と地域の協力で育成、発揚する心の故郷として、このモンテ微塾がいつまでも心に残ることを念願しています。

この塾で先生の教えを受けてこられた皆さんのご多幸、ご健勝を心からお祈りしております。

なお、先生から送って戴いた上記のVTRを同封しますので、写っておられるかたに差し上げて下さい。VTRをみて先生の指導を思い出して戴ければ幸いです。一年祭の日は、所用のため欠席しますが、ご遺族はじめご出席の皆様に宜しくお伝え下さい。先生の活躍、ご発展をお祈りしています。

平成十年十一月六日  中澤和彦   上嶋光春様


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